医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical students in the pre-hospital environment - An untapped resource for undergraduate acute care and interprofessional education (Med Teach 2021)

Nijhawan A, Kam J, Martin J, Forrester L, Thenabadu S, Aziz S. Medical students in the pre-hospital environment - An untapped resource for undergraduate acute care and interprofessional education. Med Teach. 2021 Nov 1:1-8. Epub ahead of print.

背景:King's College London Pre-hospital Care Programme (KCL PCP)は学生が運営するプログラムであり、卒前医学生に地元の救急隊のオブザーバーシフトに参加する機会を提供している。本研究では、病院前での体験 (pre-hospital exposure)が医学生の臨床的・専門的な成長にどのように貢献しているかを評価する。

方法:学生は、プログラムの前後に、急性患者の評価、コミュニケーション、専門家間の教育の様々な側面について、どの程度経験があり自信を持っているか、リッカート尺度に基づく調査に回答するよう求められた。プログラム前後のリッカート尺度による回答を照合し、統計的に分析するとともに、質的回答のテーマ分析を行った。

結果:救急隊員に接する機会、急性疾患患者を評価する自信、臨床的ハンドオーバーを行う自信のすべてが、統計的に有意に増加した。また、テーマ分析では、患者や家族とのコミュニケーションに自信が持てるようになったことや、病院前臨床医の仕事に対する理解が深まったことなどが、学習の重要なポイントとして挙げられた。

結論:病院前の環境で救急隊員のシャドーイングを行うことは、急性期医療の知識、対人スキル、専門家間の理解にプラスになる。医学生に病院前環境を体験させることは、伝統的な前臨床および臨床教育を補完する方法として、これらの分野における教育のギャップを埋めることができる。