医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Career choice regret during COVID-19 among healthcare students and professionals in mainland China: a cross-sectional study (BMC Med Educ 2021)

Yang G, Wang L, Wang J, Geng Z, Liu H, Xu T. Career choice regret during COVID-19 among healthcare students and professionals in mainland China: a cross-sectional study. BMC Med Educ. 2021;21:534.

背景:COVID-19の流行は、医療従事者や学生のキャリア選択に影響を与えた。COVID-19流行時の医療従事者と学生のキャリア選択の後悔とその影響要因については、ほとんど調査されていない。

方法:全国の病院や大学から看護師、医師、医学生を対象としたコンビニエンスサンプルを募集した。収集したデータは、人口統計学的情報、COVID-19発生前後の職業的価値、Connor-Davidson Resilience Scale、職業選択の後悔度などであり、オンライン質問票を用いて行った。多項ロジスティック回帰を用いて、キャリア選択の後悔に関連する要因を検討した。

結果:看護師5786名、医師1664名、医学生1872名の計9322名が登録された(コンビニエンスサンプリング)。6.7%の参加者がキャリア選択の後悔をしていた。多項ロジスティック回帰分析の結果、後悔していない参加者と比較して、心理的レジリエンスのレベルが上昇するにつれて、キャリア選択の後悔を経験する確率は低下することが示された(OR = 0.95, 95% CI 0.94-0.96)一方で、COVID-19発生後に職業的価値の評価が低かった参加者は、キャリア選択の後悔を経験する確率が高かった(OR = 1.55,95% CI 1.50-1.61)。医学生は看護師よりも後悔する確率が高く(OR = 1.65,95% CI 1.20-2.28)、職業・専攻の選択が自分の理想と異なる参加者は、職業選択の後悔を経験するリスクが高く(OR = 1.59,95% CI 1.29-1.96)、コロナウイルスを非常に恐れている参加者は、全く恐れていない参加者よりも職業選択の後悔を経験するリスクが高かった(OR = 2.00,95% CI 1.24-3.21)。医学生については、看護学を専攻している医学生や学部生は、臨床医学を専攻している医学生や大学院(修士・博士)の学生に比べて、キャリア選択の後悔を経験するリスクが高いことが示され、オッズ比はそれぞれ2.65(95%CI 1.56-4.49)、6.85(95%CI 2.48-18.91)であった。

結論:医療従事者や医学生のなかには、COVID-19発生時に自分のキャリア選択を後悔した人が少なからずいた。パンデミック時の医療従事者や医学生のキャリア選択の後悔を減らすためには、個人の心理的レジリエンスと職業的価値を高めることが有効である。