医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Self-compassion in medical students: a pilot study of its association with professionalism pressure (BMC Med Educ 2021)

Světlák M, Daňhelová Š, Kóša B, Slezáčková A, Šumec R. Self-compassion in medical students: a pilot study of its association with professionalism pressure. BMC Med Educ. 2021;21:500.

背景:「良い医師」になること、「良い医療行為」をすることは、医学生にとっても医療関係者にとっても明らかな目標である。しかし、関連する暗黙の基準や明示的な基準は、プロフェッショナリズムを達成しなければならないというプレッシャーという形で、苦痛の原因となる可能性がある。self-compassionは、メンタルヘルスの発展と維持に重要な役割を果たすトランスセラピー的な要素として認識されている。特に、不完全さを失敗と感じがちな医学生にとっては、学ぶべき必須のメタスキルであると思われる。本研究では、医学生が「良い医師」という概念に求める資質を調べ、この概念と比較して自分自身をどのように認識しているか、また、この2つの視点の間に起こりうる矛盾がself-compassionと関連しているかどうかを調べた。

方法:本研究には、301名の医学生が参加した(平均年齢22.3±2.1歳、71.8%が女性)。概念間の乖離は、「医師はどのような存在であるべきか?」という質問に対する回答のうち、学生が授業で繰り返し言及した36の形容詞と反意語のリストからなるsemantic differentialにより測定した。self-compassionは、Self-Compassion Scaleで測定した。

結果:得られた結果は、学生の「良い医師」の概念と、与えられた特性の階層化についての洞察を提供するものであった。統計解析の結果、「理想的な」医師像と実際の自己認識との乖離と、Self-Compassion Scale得点との間には、有意な関連が認められた。自分への思いやりが強い学生ほど、その乖離は小さいことがわかった。

結論:今回のパイロット研究では、学生のself-compassionが、理想的な「良い医師」像と学生の自己概念との乖離の度合いに何らかの役割を果たしている可能性があるという仮説が支持された。この結果は、医学生のself-compassionを深めるための教育的介入の重要性を支持するものである。また、提案された乖離度測定法は、医学生の自己理解を目的としたwell-beingプログラムの効果を測定するためのツールとなりうる。