医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

'I'm unworthy of being in this space': The origins of shame in medical students (Med Educ 2021)

Bynum WE 4th, Varpio L, Lagoo J, Teunissen PW. 'I'm unworthy of being in this space': The origins of shame in medical students. Med Educ. 2021;55:185-197.

背景:恥は、ネガティブな包括的自己評価に起因し、壊滅的な影響を及ぼす可能性がある。恥の研究は主に卒後医学教育に焦点を当てているが、医学生もまたその発生と悪影響を受けやすい。本研究では、医学生における恥の発達について、「恥はどのように発生するのか」「医学生の恥の発達に影響を与える出来事や要因は何か」を問うことにより、検討する。

方法:本研究は、現象を記述し、その意味を伝え、現象に影響を与える文脈上の要因を検討することを目的とした、解釈学的現象学 (hermeneutic phenomenology)を用いて行われた。データは、書面によるリフレクション、半構造化インタビュー、デブリーフィングセッションによって収集された。データは、AjjawiとHiggsの解釈学的分析の6つのステップ(没入 immersion、理解 understanding、抽象化 abstraction、synthesis、illumination、integration)に従って分析された。

結果:データ分析の結果、学生の恥の経験の構造的要素が、「火」のメタファーを通して概念化された。恥の誘因とは、恥の反応を引き起こす具体的な出来事であり、対人関係(例:mistreatmentを受けた)や学習(例:テストの点数が低い)などが含まれる。恥の促進剤は、恥の反応を助長する要因と特徴であり、個人に関するもの(例:過小評価)、環境に関するもの(例:組織の期待)、人と環境の相互作用に関するもの(例:他人との比較)が含まれる。著者らは、3つの例示的な物語を示し、これらの要素がどのように相互作用して医学生の恥につながるかを描いている。

結論:医学生の恥に関するこの質的調査は、医学生が学習環境をナビゲートする際の感情的反応の複雑で根深い側面を明らかにした。著者らは、医学研修環境は恥を引き起こす可能性がある、あるいは固有のリスクを持っているとしている。教育者、指導者、教育機関は、(a) 医学学習環境に真の帰属意識と包括性を植え付け、(b) 医学生の成長マインドセットを促進し、(c) 医学教育における意図的なシェイミングを排除することにより、このリスクを軽減し、ダメージを与える恥反応を抑制することができる。