医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Warnings in early narrative assessment that might predict performance in residency: signal from an internal medicine residency program (Perspect Med Educ 2021)

Kelleher M, Kinnear B, Sall DR, Weber DE, DeCoursey B, Nelson J, Klein M, Warm EJ, Schumacher DJ. Warnings in early narrative assessment that might predict performance in residency: signal from an internal medicine residency program. Perspect Med Educ. 2021 Sep 2. Epub ahead of print.

背景:ナラティブ評価データは、レジデントのパフォーマンスに問題があるかどうかを理解するうえで貴重なものである。しかし、研修初期に発生したナラティブデータのどのテーマが、研修後期に苦労する可能性が高いことを示し、プログラムが早期に介入できるようにするのかは、未だに不明である。

方法:ラーニングアナリティクスを用いて、3つのコホートに所属する26名の内科レジデントが、研修中に期待されるentrustmentを下回っていたことを特定した。これらのレジデントと、比較のために通常の成績を収めている13名のレジデントについて、研修開始から6か月間のすべてのナラティブデータをまとめた。初期コーディングのための帰納的テーマ分析の初期段階で、39名のレジデント全員のナラティブデータを盲検化した。

結果:2つのコホート間には多くの類似点が認められた。典型的なレジデントとそれ以下のレジデントの間で異なるコードは、2種類のテーマに分類され、3つの明示的・顕在的なテーマと3つの暗示的・潜在的なテーマの合計6つのテーマであった。
明示的・顕在的テーマは、レジデントのパフォーマンスの特定の側面に焦点を当てており、評価者は、1) 細部への注意の欠如、2) 患者とのコミュニケーション不足、3) 患者ケアの「全体像 (big picture)」を認識することの難しさについて述べていた。
また、ナラティブデータの書き方に焦点を当てた、3つの暗示的・潜在的なテーマが特定された。1) フィードバックは改善の機会ではなく欠陥として記述される、2) レジデントが同僚に比べて劣っていることを示す規範的な比較、3) 患者ケアに対するリスクの可能性を警告する。

結論:臨床能力委員会 (CCC)は通常、蓄積されたデータや傾向に依存している。本論文のテーマを用いてナラティブコメントを検討することは、CCCがレジデントの成長を支援するための早期認識とより良いリソースの配分に役立つと思われる。