医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Gender-focused training improves leadership of female medical students: A randomized trial (Med Educ 2021)

Hochstrasser SR, Amacher SA, Tschan F, Semmer NK, Becker C, Metzger K, Hunziker S, Marsch S. Gender-focused training improves leadership of female medical students: A randomized trial. Med Educ. 2021 Sep 2. Epub ahead of print.

背景:近年の研究では、医療従事者の性別が医療パフォーマンスに影響を与える可能性が示唆されている。本研究では、1) 蘇生チームの性別構成が救急隊員のリーダーシップ行動に及ぼす影響、2) 性別特異的な簡単な指導が女性救急隊員のリーダーシップ行動に及ぼす影響について検討した。

方法:2008年から2016年にかけて実施されたこの前向きランダム化単一盲検試験には、スイスの2つの大学の医学部4年生364名が参加した。学生2名ずつの182チームが、第一応答者の存在下で第二応答者が助けを求めている間に発生する、模擬的な心停止に直面した。第一応答者と第二応答者のすべての可能な性別の組み合わせを比較して、性別構成の影響を評価した。性別特異的な指導は、リーダーシップの重要性、自尊心とリーダーシップの性差、指導中の不安の認識、プロフェッショナルの役割、指導するための使命感に焦点を当て、スタッフの医師が10分間口頭で行い、女性の第一応答者を介入群と対照群にランダムに振り分けてテストした。主要評価項目は、ビデオ録画されたパフォーマンスの評価に基づき、救急隊員が自分のチームのリーダーシップ・ステートメントと重要な治療の意思決定に貢献した割合とした。

結果:女性の第一応答者は、男性の第一応答者に比べて、リーダーシップ声明(53%対76%, P = 0.001)および重要な意思決定(57%対76%, P = 0.018)への貢献度が有意に低かった。重要な治療方針の決定については、第2応答者が男性の場合、この効果はより顕著であった(P = 0.007)。性別特異的な介入は、女性の第一応答者のリーダーシップ発言への貢献度(P = 0.024)と重要な治療判断(P = 0.034)を有意に増加させた。

結論:女性の救急隊員は、男性の同僚に比べて、救助チームのリーダーシップや重要な意思決定への貢献度が低かった。女子医学生のリーダーシップ行動を改善するためには、簡単な男女別のリーダーシップ指導が有効であった。