医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Exploring attributes of high-quality clinical supervision in general practice through interviews with peer-recognised GP supervisors (BMC Med Educ 2021)

O'Sullivan B, Hickson H, Kippen R, Wallace G. Exploring attributes of high-quality clinical supervision in general practice through interviews with peer-recognised GP supervisors. BMC Med Educ. 2021;21:441.

背景:general practice (GP)における臨床監督 (clinical supervision)は、レジストラ(GP研修生)が安全な医療を提供し、スキルを向上させ、プライマリ・ケアのキャリアを楽しむために重要である。しかし、これは提供される監督の質に大きく依存している。しかし、GPの臨床監督の質を説明する研究は限られており、ベスト・プラクティスを促進することは困難である。本研究の目的は、GPレジストラに対する質の高い臨床監督の属性を探ることである。

方法:2019年から20年にかけて、オーストラリアの地域GP研修組織とGPカレッジにより、ベスト・プラクティスの監督者としてピア・ノミネートされたGP監督者に、22件の半構造化インタビューを実施した。合目的的サンプリングにより、性別やキャリアステージ、診療の規模、州・地域、ルーラル性など、多様な特徴を持つ回答者を求めた。インタビューは、ビデオ会議で行われ、録音された。インタビューの記録は、GP監督者の質を反映したテーマを導き出すために、反復的、帰納的なテーマ分析を用いて、独立してコード化した。

結果:7つのテーマが浮かび上がった。
・(1) 参加者は、レジストラ時代に監督を受けた経験や、他の監督者や自分の監督の経験を振り返って学んだことから、質の高い監督の意味を理解していた。
・質の高い監督は、(2) 可能な限りの学習機会を最適化するためにGPの配置を積極的に構成すること、(3) レジストラのミスなどの困難な状況に対処するための基盤としてレジストラとの間に安心感と思いやりのある関係を築くことで反映された。
・(4) 異なるスキルや監督方法を持つ実践チーム全体の意見を取り入れることで、レジストラの学習を維持・向上させることも、質の高い監督に含まれた。
・(5) 学習者を中心とした強力なアプローチが用いられ、レジストラの能力が様々な分野で現れてくると、監督者はリアルタイムでサポートや介入を調整した。
・また、質の高い監督には、(6) 安全で独立した意思決定を行うためのレジストラのプロフェッショナル・アイデンティティと能力の構築、(7) 学習を促進するために、質の高いフィードバックを行う前にレジストラが状況を振り返ることを奨励することも含まれていた。

結論:本研究は、探索的なものではあるが、同業者に認められたGP監督者の視点から、GPにおける臨床監督の質を理解するための基礎を提供するものである。GPの監督の質を理解し採用するには、GPがベスト・プラクティスの模範例を共有し、専門的な考察の機会を持つことで改善される可能性がある。本研究の結果は、GP監督者のカリキュラムやリソース、専門的な開発活動を考案する際の参考資料として活用できるだろう。