医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Implementation and Use of Workplace-Based Assessment in Clinical Learning Environments: A Scoping Review (Acad Med 2021)

Anderson HL, Kurtz J, West DC. Implementation and Use of Workplace-Based Assessment in Clinical Learning Environments: A Scoping Review. Acad Med. 2021 Aug 17. Epub ahead of print.

背景:Workplace-based assessment (WBA)は、Competency-Based Medical Education (CBME)を支えるうえで、コンピテンシーの決定に役立つ評価データを提供し、学習をサポートするという重要な役割を果たす。多くのWBAシステムが開発されているが、WBAを効果的に実施する方法についてはほとんど知られていない。このギャップを埋めることは、CBMEの大規模な使用をサポートする適切で有益な評価プロセスを作成するために重要である。このギャップを埋めるための一歩として、著者らはWBAの実施と使用について知られていることを説明し、知識のギャップと今後の方向性を明らかにした。

方法:著者らは、Arksey and O'Malleyの6段階のスコーピング・レビュー・フレームワークを用いて、以下のようなレビューを行った。(1) 研究課題の特定、(2) 関連研究の特定、(3) 研究の選択、(4) データの図表化、(5) 結果の照合・要約・報告、(6) 関係するステークホルダーとの協議。

結果:2019年から2020年にかけて、著者は726本の論文を検索し、設定した組み入れ基準と除外基準を用いて適格性を審査した。163件が組み入れ基準を満たした。著者らは、分析において5つのテーマを特定した。(1) 多くのWBAツールやプログラムが導入されており、障壁はフィールドや専門分野を問わず共通している、(2) 理論的な視点からは、データに基づいた導入戦略の必要性が強調されている、(3) WBAに対するユーザーの認識は様々であり、導入要因に左右されることが多い、(4) 技術的なソリューションは、WBAを支援する有用なツールを提供できる可能性がある、(5) 今後の研究やイノベーションの分野が多く残されている。

結論:CBMEを支援するために実施されるプラクティスとしてのWBAに関する知識はまだ制約されている。これらの制約を取り除くために、今後の研究では、WBAの実施と使用に関する一般化可能な知識を生み出し、実施要因に対処し、残された知識ギャップを調査することを目指すべきである。