医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Does being a coach benefit clinician-educators? A mixed methods study of faculty self-efficacy, job satisfaction and burnout (Perspect Med Educ 2021)

Elster MJ, O'Sullivan PS, Muller-Juge V, Sheu L, Kaiser SV, Hauer KE. Does being a coach benefit clinician-educators? A mixed methods study of faculty self-efficacy, job satisfaction and burnout. Perspect Med Educ. 2021 Aug 18:1–8. Epub ahead of print.

背景:コーチングは、臨床家教育者の間で重要な役割を担っている。自己効力感 (Self-Efficacy)は、教員のモチベーションを高める強力な手段であり、仕事の満足度とは正の相関、バーンアウトとは負の相関がある。本研究では、コーチをはじめとする臨床家教育者の自己効力感、仕事の満足度、バーンアウトを調査した。

方法:本研究では、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の教員を対象に、量的調査に続いて質的インタビューを行う混合法研究を実施した。コーチ(資金提供を受けているフルタイム20%相当)、他に資金提供を受けている教育職を持つ教員("funded")、資金提供を受ける教育職を持たない教員("unfunded")を対象に、自己効力感(教育、専門的開発、研究)、仕事の満足度、バーンアウトについて48項目の調査を行った。データの分析には、分散分析に続いて、ポストホック検定とカイ二乗検定を用いた。また、定量的な結果を精緻化するために、15人の教員に対して質的なインタビューを行い、フレームワーク分析を用いてデータを分析した。

結果:384名の教員のうち202名(52.6%)がアンケートに回答し、187名のアンケートを分析した。教育自己効力感はグループ間で類似していた。コーチと資金提供を受けた教育者は、資金提供を受けていない教育者に比べて、専門的開発に関する自己効力感と仕事の満足度が有意に高かった。バーンアウトは、コーチや資金援助を受けていない教育者に多く見られた。質的分析の結果、3つのテーマが得られた:報酬の源、アカデミック・アイデンティティバーンアウトを軽減するための戦略。教育者の役割は、自己効力感と仕事の満足度を高める報酬を提供するが、同時に競合する要求も発生する。コーチは、プロフェッショナル・アイデンティティーを形成することや、困難な学習者に対応することが課題であるとした。

結論:コーチングの役割は、他の教育者としての役割と同様の利益を教員にもたらすが、コーチの役割に特有の要求がバーンアウトの原因となる可能性がある。