医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Psychological Consequences Among Residents and Fellows During the COVID-19 Pandemic in New York City: Implications for Targeted Interventions (Acad Med 2021)

Kaplan CA, Chan CC, Feingold JH, Kaye-Kauderer H, Pietrzak RH, Peccoralo L, Feder A, Southwick S, Charney D, Burka L, Basist M, Ripp J, Akhtar S. Psychological Consequences Among Residents and Fellows During the COVID-19 Pandemic in New York City: Implications for Targeted Interventions. Acad Med. 2021 Aug 10. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、COVID-19 pandemicが、米国パンデミックの最初のepicenterであるニューヨーク市(NYC)のマウントサイナイ病院(MSH)に勤務する医療研修生(レジデントおよびフェロー)に与えた心理的影響を調査することである。

方法:著者らは、2020年4月から5月にかけて、NYCのMSHに勤務する最前線の専門分野の研修生991名にアンケート調査を実施した。調査票では、大うつ病性障害、全般性不安障害、COVID-19関連の心的外傷後ストレス障害バーンアウトの症状を評価した。精神医学的スクリーンは1つの複合尺度に集約され、3つの尺度のいずれかで基準を満たす場合は、精神医学的症状の陽性スクリーンとみなされた。この調査では、COVID-19に関連した曝露、悩み、対処法、望ましい介入方法も評価した。多変量ロジスティック回帰を行い、精神症状とバーンアウトに関連する要因を明らかにした。

結果:560名の回答者(回答率56.6%)のうち、29.7%が精神症状陽性、35.8%がバーンアウト陽性と診断された。精神疾患の既往歴、COVID-19に関連した業務や個人的・キャリア的な悩み、物質使用による対処は、精神症状が陽性と判定される可能性の増加と関連していた。感情に焦点を当てたポジティブな対処法と、上司に評価されていると感じることは、可能性の低下と関連していた。内科および外科の専門医、精神疾患の既往歴、労働時間の増加、職務上の悩み、個人的・キャリア上の悩み、自責と発散による対処、物質使用による対処は、バーンアウトになる確率が高いことと関連していた。上司に評価されていると感じることは、バーンアウトの確率を下げることにつながった。危機に関連するニーズとしては、PPEの入手、食料品の提供、経済的支援が最も多かった。

結論:パンデミックが発生したNYCでは、研修生の約3分の1が心理的苦痛やバーンアウトに陥っていた。今回の結果から、基本的なニーズへの対応、リーダーシップの肯定、労働時間の緩和、経済的支援、メンタルヘルス支援の強化などの介入が必要であることが示唆された。