医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Physician empathy according to physicians: A multi-specialty qualitative analysis (Patient Educ Couns 2021)

Schwartz R, Dubey M, Blanch-Hartigan D, Sanders JJ, Hall JA. Physician empathy according to physicians: A multi-specialty qualitative analysis. Patient Educ Couns. 2021 Jul 15:S0738-3991(21)00483-3. Epub ahead of print.

背景:神経内科、家庭医療、内科、救急医療に携わる医師が、臨床的な共感をどのように表現しているかを探る。

方法:医師 (N = 94)は、共感的な医師の行動の例を10個まで記述するように求められた。データはテンプレート分析を用いて解析した。

結果:臨床的共感についての医師の記述は、3つのテーマにパターン化された。すなわち、臨床パフォーマンスとプロフェッショナリズム、対人コミュニケーション、臨床家としての志向性であった。臨床パフォーマンスとプロフェッショナリズムのサブテーマには、医師のコンピテンシーとアクセス性、組織のリソースとの連携、患者との時間の過ごし方/作り方/取り方が含まれていた。対人コミュニケーションのサブテーマには、情報共有、言語的・非言語的アプローチ、対人感受性、医師の自己開示、感情への注意が含まれていた。臨床家としての志向性は、医師としての態度や、患者からは見えない内面的な考えや感情を含んでいた。共感の定義として挙げたテーマは、医師によって大きく異なっていた。

結論:医師は臨床的共感について多様な概念を持っている。これらは従来の感情的、認知的な共感の定義を超えて、チーム医療や時間外のアクセス性などの構造的な要素を含んでいる。また、共感を示すためには、コミュニケーション行動が重要であると認識されていた。共感に関する医師の記述の中には、患者には感知できないものもある。
医師と患者が共感していると感じる行動をとるように医師を訓練することは、患者と医師の満足度を高めることにつながるかもしれない。