医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Shame in medical clerkship: "You just feel like dirt under someone's shoe" (Perspect Med Educ 2021)

Whelan B, Hjörleifsson S, Schei E. Shame in medical clerkship: "You just feel like dirt under someone's shoe". Perspect Med Educ. 2021 May 5. Epub ahead of print.

背景:本研究では、上級医学生が臨床実習中に恥 (shame)をどのように経験し、反応するかを、(1)恥の経験の表れ、(2)恥を生じさせる状況と社会的相互作用、(3)学習とプロフェッショナル・アイデンティティ形成に対する恥の影響の認識、について、探索した。

方法:本研究では、ノルウェーのメディカルスクールの2つのクラスから16名の上級医学生リクルートした。3回のフォーカスグループインタビューでは、参加者は恥の経験について考えるように求められた。データはシステマティックなテキスト要約 (systematic text condensation)を用いて分析され、学生の恥の経験に関する豊かな記述が得られた。

結果:すべての参加者は、感情的、身体的、認知的な反応を伴うさまざまな恥の経験をしていた。恥は、無関心、無礼、屈辱、プロ意識の欠如と解釈される臨床医の様々な行動によって引き起こされた。臨床研修中の恥は、自信や意欲の喪失、プロフェッショナルとしての能力についての心配、学習への関与の欠如、恥に関連する専門分野からの距離を生じさせた。恥によるプラスの効果は報告されなかった。

結論:医学生の恥の反応は、学生が望まれていない、拒絶されている、負担を感じていると感じさせる臨床家の行動や、屈辱的な教育状況によって引き起こされた。恥は、モチベーション、学習、プロフェッショナル・アイデンティティ形成に悪影響を及ぼした。本研究は、学習者、教育者、臨床医にとって意味があり、医学教育における支援的な学習環境と指導者の社会的スキルの重要性についての理解を深めることに貢献すると思われる。