医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Approaches to interpersonal conflict in simulation debriefings: A qualitative study (Med Educ 2021)

Roze des Ordons AL, Cheng A, Lockyer J, Wilkie RD, Grant V, Eppich W. Approaches to interpersonal conflict in simulation debriefings: A qualitative study. Med Educ. 2021 Jul 21. Epub ahead of print.

背景:心理的安全性が脅かされた場合、シミュレーション・デブリーフィング中の対立は、学習の妨げになることがある。デブリーフィング担当者は、学習者間の対立に対処する準備ができていないと感じることが多く、また、文献にはシミュレーション環境でのエビデンスに基づくガイダンスが示されていない。本研究の目的は、対人関係の対立を調停するためのデブリーファーのアプローチを説明し、いつ、なぜ、どのように調停戦略を採用するかを探索することである。

方法:本研究では、学習者の特性が異なるシナリオのデブリーフィングに対するシミュレーション・デブリーファーのアプローチを調査する大規模な研究の一環として収集した質的データの二次分析を行った。本研究では、シミュレーション・デブリーフィング (n = 10)の記録と、学習者間の対人関係の対立に焦点を当てたシミュレーション前 (n = 11)とシミュレーション後 (n = 10)のインタビューにテーマ分析を適用した。

結果:デブリーファーは、対立の調停に苦労したことや、自己認識の重要性などが語られた。具体的な調停戦略には、介入する、力関係に対処する、非生産的な相違を調整する、異なる視点を活用する、対立を回避する、対立を超えてシフトするなどがあり、これらの戦略にはいくつかの特殊なスキルが含まれていた。調停アプローチのきっかけとなる状況は、心理的安全性、感情的強度、共有理解と生産的学習の機会に関連していた。デブリーファーは、柔軟かつ創造的な方法で調停戦略・スキルを適用した。

結論:シミュレーション・デブリーフィングにおいて、学習者間の対立を調停するために我々が説明した戦略は、心理的安全性の概念と一致しており、シミュレーション教育者の将来の専門的開発を導くうえで有用であると思われる。