医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The use of text mining to detect key shifts in Japanese first-year medical student professional identity formation through early exposure to non-healthcare hospital staff (BMC Med Educ 2021)

Shikama Y, Chiba Y, Yasuda M, Stanyon M, Otani K. The use of text mining to detect key shifts in Japanese first-year medical student professional identity formation through early exposure to non-healthcare hospital staff. BMC Med Educ. 2021;21:389.

背景:プロフェッショナル・アイデンティティ形成は、ロールモデルとの相互作用による社会化によって育まれ、早期臨床体験 (early clinical exposure; ECE)プログラムによってサポートされる。非医療従事者は、病院コミュニティの一部を形成しているが、医療文化からは外れており、ロールモデルとしての可能性は未探索である。今回我々は、学生の振り返り課題のテキストマイニングを行い、ECE中の非医療従事者との社会化の影響を探索した。

方法:福島県立医科大学の医学部1年生259名の課題を対象に、階層的クラスター分析を行った。最も頻繁に出現する単語の相互関係を分析してコーディングルールを作成し、それを適用して基本的なテーマを明らかにした。

結果:専門家としての特徴を表す用語が、「知識・技能」から「(自分の仕事に対する)誇り」や「責任感」へと変化していることがわかった。テーマは、「非医療従事者の貢献」、「職業の多様性」、「誇り」、「責任」、「チームワーク」、「患者ケア」、「感謝」の7つが挙げられた。「非医療従事者の貢献」を挙げた学生は、利他的な献身と強い目的意識を語っていた。これらの学生は、医師の立場から、臨床業務を支えている非医療従事者に感謝の意を表していた。

結論:非医療従事者との社会化は、病院の労働環境や文化的な労働規範について重要な洞察を与えてくれる。利他主義と責任感のロールモデルを通して、非医療従事者は学生のプロフェッショナル・アイデンティティ形成にポジティブな影響を与え、医師としての自己認識を促進した。