医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

How rural immersion training influences rural work orientation of medical students: Theory building through realist evaluation (Med Teach 2021)

Bingham A, O'Sullivan B, Couch D, Cresser S, McGrail M, Major L. How rural immersion training influences rural work orientation of medical students: Theory building through realist evaluation. Med Teach. 2021 Jul 19:1-8. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、没入型の地方研修 (immersive rural training)を受ける医学生が、将来の地方での実践に向けて開放的になるために、文脈とメカニズムがどのように相互作用するかについての理論を構築することである。

方法:RAMESES IIプロトコルに基づいたリアリスト評価を行った。23名の学生にインタビューを行い、外部(場所ベース)と内部(学生の特性)のコンテキスト(C)、反応を促すメカニズム(M)、成果(O)(地方での仕事への開放性)を探った。

結果:「地方での仕事への開放性」は、次のことに関連していた。すなわち、地方に住みたいという欲求、地方の医療現場で働きたいという欲求、地方で将来働く可能性を検討していることである。これは、地方での経験が、意欲的、知的、感情的なものであるという回答(メカニズム)がきっかけとなった。最も影響を受けたのは、人を助けたいという強い動機を持つ学生、チームワークを重んじる学生であった。大都市圏でのキャリアパスを明確に想定している学生や、大都市圏での社会的・地域的なつながりを強く意識している学生は、将来的に地方で働くことにコミットする可能性が低いことがわかった。

結論:我々の理論は、マルチレベルの刺激が開放性を活性化することを示している。このことから、地方での没入型プログラムでは、チームワークを重視し、事前に専門的な考えを持たず、他人を助けることに強いコミットメントを持つ学生を選ぶことができると考えられる。このような学生は、地方での没入を経験することで、意欲的、知的、感情的な反応を引き起こし、地方での仕事への開放性につながると考えられる。