医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Understanding junior doctors' experiences of teaching on the acute take: a qualitative study (BMC Med Educ 2021)

Hayden C, Raidan J, Rees J, Oswal A. Understanding junior doctors' experiences of teaching on the acute take: a qualitative study. BMC Med Educ. 2021;21:383.

背景:新卒の医師は、卒前のカリキュラムで実際に臨床に触れる機会が限られているため、急性期の患者を管理する準備ができていないことが多い。急性期における卒前医学生の学習を支援することは、教育と臨床の責任を両立させるうえで、ジュニアドクターにとって困難なことでありうる。
本研究の目的は、急性期の入院環境における卒前教育の支援について、ジュニアドクターの実体験を探ることである。

方法:南西イングランドの教育病院に勤務する14名の若手医師が、半構造化されたフォーカスグループ(各グループ4~6名)に参加した。音声録音、文字起こし、テーマ分析が行われた。

結果:ジュニアドクターは、自分の教育的役割を、教える、実演する、コーチする、監督する、と表現した。彼らは、急性期の現場は非常に変化に富み、予測不可能な環境であり、学習の範囲が広いと認識していた。医師の臨床的役割と教育的役割の間には、内外の要因に影響された緊張関係が見られた。臨床業務は教育よりも優先され、参加者は指導や臨床のスキルに自信が持てなかった。医師は、学生の期待に応えなければならないというプレッシャーを感じ、学生の教育的ニーズに対する理解が不足していた。先輩は教育文化の確立に大きな影響力を持っていたが、タイムリーな臨床ケアを提供しなければならないというプレッシャーの源になることが多かった。組織は、教育専用の時間を用意しておらず、限られたリソースを患者の治療に優先させるため、教育を重視していないと認識されていた。参加者は、学生を受動的な観察者に降格させるなど、役割を正式に分離することで緊張を和らげ、学生の能力と期待をよりよく理解するために、実習の継続性を高めようとしていた。

結論:急性期ケアでの卒前医学生の教育機会は多様であり、非常に価値がある。本研究では、ジュニアドクターの視点から、職場教育の提供とその課題について洞察した。また、教育提供者に関連する改善すべき点を明らかにした。