Lee CY, Jenq CC, Chandratilake M, Chen J, Chen MM, Nishigori H, Wajid G, Yang PH, Yusoff MSB, Monrouxe L. A scoping review of clinical reasoning research with Asian healthcare professionals. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2021 Jul 12. Epub ahead of print.
背景:臨床推論 (clinical reasoning)とは、診療の指針となる思考プロセスのことである。医療従事者を対象とした臨床推論の研究は数多く存在するが、その大半は西洋文化に由来するものと思われる。そこで、アジア文化圏における臨床推論関連の研究を調査するために、スコーピング・レビューを実施した。
方法:PubMed, SciVerse Scopus, Web of Science, Airiti Libraryのデータベースを検索した。包含基準は、アジア諸国で発表されたフルテキストの論文(2007年~2019年)とした。検索用語には、clinical reasoning, thinking process, differential diagnosis, decision making, problem-based learning, critical thinking, healthcare profession, institution, medical students, nursing studentsが含まれた。
結果:除外基準を適用した後、n = 240をレビューの対象とした。論文数は2012年に増加し(2011年のn = 13 (5%)からn = 22 (9%))、その後も順調に増加して2016年には12%(n = 29)となった。韓国が最も多くの論文を発表しており(19%、n = 46)、次いでイラン(17%、n = 41)であった。Nurse Education Todayは論文の11%(n = 26)を掲載し、BMC Medical Education(5%、n = 13)がそれに続いた。看護学生と医学生が、調査対象となる最大の母集団を占めていた。
記事を分析した結果、7つのテーマが見つかった。既存のコースの評価(30%、n = 73)が最も頻繁に確認されたテーマであった。文化的な意味合いを示した比較論文は7件のみであったが、文化が臨床推論に与える影響の直接的なevidenceを示している論文はなかった。我々は、臨床推論におけるさらなる研究の必要性、特に臨床推論が国の文化によってどのような影響を受けるかに焦点を当てた研究が必要であることを明らかにした。
結論:アジア文化圏における現在の臨床推論の研究をよりよく理解することは、カリキュラム開発者が文化的に適切な学習環境を確立するうえで役立つかもしれない。