Hagelsteen K, Pedersen H, Bergenfelz A, Mathieu C. Different approaches to selection of surgical trainees in the European Union. BMC Med Educ. 2021;21:363.
背景:外科研修候補者の選考プロセスに対する関心が世界的に高まっている。本研究の目的は、European Union (EU)における外科専門医研修への選抜プロセスを比較することである。副次的な目的は、EU内の各国を整合させる最低基準案によって、エビデンスに基づく方法の指針を示すことである。
方法:選考方法を記載した論文およびgrey literatureを探した。Union Européenne des Médecins Specialists (UEMS)のSection of Surgeryの代表者に連絡を取り、各国の選考プロセスに関する現在の情報を求めた。スウェーデンの経験豊富な外科医に行った13件の半構造化インタビューの内容分析を行い、また、中央集権化された選考プロセスを持つ国であるアイルランドへのフィールドトリップを2回行った。集約された情報に基づいて、アイルランドとスウェーデンの中央集権的および分権的な環境における選択の典型的なケースを説明し、比較した。
結果:調査対象となった27カ国では、外科研修プログラムへの選抜方法は、構造化されていない面接を行う地域運営のプロセスから、精巧な構造化された面接、非技術的および技術的なスキル評価を行う研修生の選抜のための国家システムまで、様々な方法が記録された。中央集権的な選考システムと分権的な選考システムの違いに関連して、外科研修が主に雇用論理と教育論理のどちらに支配されているかが挙げられる。アイルランドは最も集中的で精巧なシステムを持っており、教育的な論理に沿ってエビデンスに基づいた方法で二重の選考プロセスを行っていた。一方、スウェーデンは分権型で、エビデンスに基づいた方法が少なく、国のガイドラインもなく、雇用の論理で運営されており、スペインは受験者のランク付けを試験のみに頼っている。
結論:今回調査したヨーロッパの国々は、外科系研修生の選抜プロセスがそれぞれ異なり、教育システムが類似しているにもかかわらず、選抜にエビデンスに基づく方法を用いているかどうかはまちまちである。分権的なシステムにおける選抜は、現状では透明性がなく、主観的に行われることが多い。中央集権的なシステムと分権的なシステム、および教育論理と雇用論理に適用可能な、エビデンスに基づいた選抜の枠組みに向けた改善策が提案される。