医学教育研究者・総合診療医のブログ

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The meaning of rapport for patients, families, and healthcare professionals: A scoping review (Patient Educ Couns 2021)

English W, Gott M, Robinson J. The meaning of rapport for patients, families, and healthcare professionals: A scoping review. Patient Educ Couns. 2021 Jun 15:S0738-3991(21)00401-8. Epub ahead of print.

背景:ラポール (rapport)は、臨床関係の基本と考えられているが、ほとんど定義されていない概念である。本レビューでは、医療においてラポールがどのように定義され、特徴づけられ、運用されているかを探る。

方法:スコーピングレビュー (scoping review)の手法を用いた。データはテーマ分析を用いて統合した。レビュープロセスは、Preferred Reporting System for Meta-Analysis for Scoping reviews (PRISMA-ScR)に準拠した。

結果:Medline, CINAHL, psychINFOを検索し、34件の研究が組み入れ基準を満たした。結果は2つのテーマで示された。すなわち、「ラポールの意味」と「ラポールを築くための意味」。

結論:このスコーピングレビューでは、ラポールは、レビューされた研究において共通の定義や概念がないことがわかった。同時に、ラポールは運用され、特徴づけられていることもわかった。ラポールの構築を促進する要因と阻害する要因が特定された。一貫して使用される定義と概念化を持つことは、ラポールに関する患者と家族の経験と結果について必要とされる研究に有益である。
医療従事者は、ラポールを促進するために、簡単な親切なジェスチャーを実践に取り入れることが重要である。同様に、医療従事者は、ラポールの構築を妨げるような見下した、避けるような行動をしていないか、自分の実践を見直し、患者との時間の過ごし方を検討する必要がある。