医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Flipped learning enhances non-technical skill performance in simulation-based education: a randomised controlled trial (BMC Med Educ 2021)

Moll-Khosrawi P, Zöllner C, Cencin N, Schulte-Uentrop L. Flipped learning enhances non-technical skill performance in simulation-based education: a randomised controlled trial. BMC Med Educ. 2021;21:353.

背景:より安全な医療システムを構築することを目的とした過去数年間の多くの努力により、予防可能な医療事故の70%以上はnon-technical skills (NTS)が原因であることが認識されている。これらの事故に対抗するために、医療教育ではNTSを伝えるためのシミュレーションベースのトレーニングがいくつか実施されている。しかし、シミュレーションベースのトレーニングでNTSを育成するための最善かつ効果的な方法はまだわかっていない。NTSの重要性のために、この知識のギャップを埋める必要がある。シミュレーションベースの医学教育 (SBME)においてNTSを効果的に伝えるための可能なアプローチは、反転学習 (flipped learning approach)の使用かもしれない。しかし、反転学習がヒューマンファクター (NTS)の向上にどのような効果をもたらすかは、まだ調査されていない。そこで著者らは、SBMEの救急訓練に実験的介入として反転学習を導入し、講義ベースの学習 (LBL)と比較して、反転学習が学生のNTSパフォーマンスを向上させるかどうかを分析することを目的とした。

方法:ランダム化比較試験において、医学部3年生はSBMEトレーニングに参加した後、NTSに関する反転学習を統合したSBMEトレーニング(介入群)、またはSBMEトレーニングとNTSに関する付随する講義(対照群)のいずれかを受けた。NTSのパフォーマンスは、有効な行動マーカーシステムを用いて3つのスキル次元で評価された。

結果:著者らは、102名の学生のNTSパフォーマンスを、各教育方法に割り当てられる前後で分析した。両グループのベースラインのNTSパフォーマンスには差がなかったが、介入グループは3つのスキル次元すべてにおいて有意に向上した(t (44) = 5.63, p < .001; t (44) = 4.47, p < .001; t (44) = 4.94, p < .001)。

結論:SBMEに反転学習を導入することで、NTSのパフォーマンスが大幅に改善された。したがって、医学教育者は、複雑なヒューマンファクターやスキルを伝えるために反転学習の適用を検討すべきである。