医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Competence Committees: The Steep Climb from Concept to Implementation (Med Educ 2021)

Acai A, Cupido N, Weavers A, Saperson K, Ladhani M, Cameron S, Sonnadara RR. Competence Committees: The Steep Climb from Concept to Implementation. Med Educ. 2021 Jun 21. Epub ahead of print.

背景:コンピテンス委員会(Competence Committees: CCs)は、residentの研修期間中の進捗状況を確認し、委託可能な専門的活動 (EPA)の達成度を判断し、昇進や補習に関する勧告を行うことを任務とする教育者のグループである。CCsは、コンピテンシーベースの医学教育プログラムの一部として世界中で義務づけられている。しかしながら、CCsが直面する導入上の課題や、それがCCsの機能や意思決定プロセスにどのような影響を与えるかについては、まだ十分な検討がなされていない。本研究では、カナダの教育機関におけるCCの導入を調査し、3年間でCCが直面した共通の課題と克服した独自の課題を記録した。

方法:本研究は3つのフェーズで構成されており、Moran-Ellisらの"following a thread"という概念を用いて、概念的にも分析的にも関連付けられている。フェーズ1では、30人のキーインフォーマントの初期の認識と経験を、アンケートと半構造化インタビューを用いて調査しました。フェーズ2では、導入後1年が経過した時点で、35人のCC議長にアンケートを実施し、CCの運営状況を把握した。フェーズ3では、実施から2年後に、20人のCCメンバーに半構造化インタビューに参加してもらい、初期のテーマをフォローアップした。また、各フェーズで得られた知見を裏付けるために、9つの分野にわたる16のCCミーティングを詳細に観察したメモを使用した。

結果:各フェーズの回答率は、それぞれ83% (n = 25)、43% (n = 15)、60% (n = 12)であった。教員とresidentの間でCCに対する高い支持が得られたものの、プログラム規模への対応、メンバーの最適化、residentの参加、メンバー間のキャパシティの維持、データの共有と集計、明確なマンデートの策定など、いくつかの継続的な課題が浮き彫りになった。

結論:本研究の結果は、residentの参加と専門分野間の情報共有の重要性を補強するものであった。CCsが直面している課題を既存の文献と照らし合わせて議論し、医学教育におけるグループの意思決定プロセスをより深く理解することができた。今後の研究では、実施方法を施設間で比較し、どのような適応が意思決定の結果を良くも悪くもするのかを探ることができるだろう。