医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Threshold concepts in group-based mentoring and implications for faculty development: A qualitative analysis (Med Teach 2021)

Kvernenes M, Valestrand EA, Schei E, Boudreau JD, Ofstad EH, Hokstad LM. Threshold concepts in group-based mentoring and implications for faculty development: A qualitative analysis. Med Teach. 2021 Jun 7:1-5. Epub ahead of print.

背景:メンターのためのfaculty development programに関する文献は少ない。本研究では、メンタリングの閾値概念 (threshold concept)を明らかにすることを目的として、メンターの経験と課題を検証している。また、メンターのfaculty developmentへのimplicationについても考察する。

方法:半構造化インタビューでは、メンターの生きた経験に関する個人的な語りや省察が求められた。データの分析は、閾値概念の枠組みに基づいて行われ、重大な視点の変化を特定することができた。

結果:ノルウェーの2つの医科大学とカナダの1つの医科大学で、グループベースのメンタリングプログラムを実施している22人のメンターにインタビューを行った。メンタリングの経験には、4つの重要な閾値概念が含まれていた。すなわち、学生のニーズに焦点を当てること、信頼できる学習空間を作ることの重要性、学生の目を通して自分を見ること、メンターと医師のアイデンティティを一致させることであった。

結論:メンターの役割を担うことは、個人的にも職業的にもジレンマを感じさせる一方で、成長のきっかけにもなる。メンターとしての成長とプロフェッショナルの医師としての成長の軌跡は、相互に確認し合い、反映し合い、強化し合っていると考えられる。メンターのために特別にデザインされたfaculty development programは、過去の学習経験の省察を促し、様々なプロフェッショナルとしての役割を果たすために必要な教育的知識と臨床的内容の知識をうまく調和させるよう努力することを目的とすべきである。