医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The strength of our stories: a qualitative analysis of a multi-institutional GME storytelling event (Med Educ Online 2021)

Olson ME, Smith ML, Muhar A, Paul TK, Trappey BE. The strength of our stories: a qualitative analysis of a multi-institutional GME storytelling event. Med Educ Online. 2021;26:1929798.

背景:ストーリーテリング (storytelling)は、話し手と聞き手の間に内省とつながりをもたらす強力なツールである。人気が高まっている一方で、卒後医学教育 (GME)の場で正式な口頭ストーリーテリングを行うことの利点を研究することは稀である。我々のリサーチクエスチョンは、「GMEの研修生と教員を対象としたオーラル・ストーリーテリング・イベントは、参加者のwell-beingとレジリエンスを促進するための効果的なアプローチとなり得るか?」。

方法:ミネソタ州の7つのアカデミックヘルスシステムのレジデント、フェロー、教員を対象とした年1回の口頭ストーリーテリング・イベントにおいて、医師の参加者(ストーリーテラーと聴衆)から視点を集めるために、複数のアプローチを用いた。データソースとしては、イベント中に参加者が書いた短い感想文、参加者がイベント中に経験したことを調査するイベント直後のアンケート、ソーシャルメディアへの投稿、イベント後のアンケート回答で挙がったつながりとバーンアウトというテーマをさらに掘り下げるためのフォローアップインタビューなどがある。テーマを特定するために、演繹的および帰納的コーディングを用いて質的分析を行った。

結果:参加者は334名で、そのうち医師は197名であった。イベントでは、129個のリアルタイムの感想文が集められた。また、イベントに関するTwitterの投稿は33件あった。イベント後のアンケートの回答率は医師で65%であり、医師の回答者の63%が、対象となるフォローアップインタビューに志願した。そのうち、38%がフォローアップインタビューに答えた。マルチモーダルな質的分析から浮かび上がったテーマは、「つながりやコミュニティの感覚」、「仕事の意味や目的の再確認」、「再生や希望」、「感謝」、「バーンアウトへの影響」であった。

結論:多数の参加者と確認されたテーマは、口頭ストーリーテリング・イベントが、卒後医学教育において、コミュニティを構築するための強力なツールとなり得ることを示している。また、このイベントが参加者のwell-beingにプラスの影響を与えており、口頭ストーリーテリング・イベントは医学教育におけるレジリエンスを促進するための効果的なアプローチとなり得ることが、イベントのリアルタイムおよび後の深い省察後の両方から得られた複数の情報源から行った、質的分析により、明らかになった。