医学教育研究者・総合診療医のブログ

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The effect of Humanitude care methodology on improving empathy: a six-year longitudinal study of medical students in Japan (BMC Med Educ 2021)

Fukuyasu Y, Kataoka HU, Honda M, Iwase T, Ogawa H, Sato M, Watanabe M, Fujii C, Wada J, DeSantis J, Hojat M, Gonnella JS. The effect of Humanitude care methodology on improving empathy: a six-year longitudinal study of medical students in Japan. BMC Med Educ. 2021;21:316.

背景:他人の経験や悩みを理解する共感は、医師の総合的なコンピテンスを高めるための重要な要素である。この縦断的研究は、知覚、感情、発話に焦点を当てたユマニチュード・ケア・メソドロジー (Humanitude Care Methodology)によって、医学生の共感性が高められ、維持されるという仮説を検証するために行われた。

方法:本研究は、2013年に岡山大学医学部に入学した115名の学生を対象とした6年間の縦断的観察研究である。研究参加者は、2つの共感向上プログラムに参加した。(1)コミュニケーションスキルトレーニング(医療面接を含む)、(2)ユマニチュードトレーニング(共感性を高めることを目的としたプログラム)。参加者は、医学部入学時、1つ目のプログラム(医療面接)参加前、1つ目のプログラムの直後、2つ目のプログラム(ユマニチュード演習)参加前、2つ目のプログラムの直後、医学部5年目と6年目(最終学年)の計7回、Jefferson Scale of Empathy(JSE)を記入した。合計79名(コホートの69%)の学生が、JSEの7回のテストをすべて完了した。

結果:JSEの平均点は、医療面接プログラム(p < 0.01)とユマニチュードトレーニングプログラム(p = 0.001)に参加した後に有意に改善した。しかし、どちらのプログラムも持続的な効果は見られなかった。

結論:ユマニチュードトレーニングプログラムと医療面接トレーニングプログラムは、医学生の共感性を向上させるための有意な短期的ポジティブ効果を有していた。長期的な効果を持続させるためには、さらなる強化が必要であると考えられた。