医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Informal faculty development in health professions education: Identifying opportunities in everyday practice (Med Teach 2021)

King SM, Richards J, Murray AM, Ryan VJ, Seymour-Walsh A, Campbell N, Kumar K. Informal faculty development in health professions education: Identifying opportunities in everyday practice. Med Teach. 2021 Jun 1:1-5. Epub ahead of print.

背景:Faculty development (FD)は、医療専門職の教育者が知識、スキル、専門性を向上させることをサポートするものである。医療専門職教育 (HPE)の分野では、フォーマルなFDが注目されているが、インフォーマルなFDがどのように行われているかについてはほとんど知られていない。本研究では、アカデミック(大学)における医療専門職教育者の非公式なFDの機会と制約を明らかにし、彼らがどのようにその機会に関わっているかを理解することを目的とした。

方法:本探索的研究は、オーストラリアのある大学で行われた。卒前・後の教員および評価者(teachers)(n = 10)、教員チームおよびプログラムリーダー(mid-level leaders)(n = 8)、シニア(university-level)リーダー(n = 2)にインタビューとフォーカスグループを行った。データをテーマ別に分析し、状況的認知論 (situated cognition theory)を適用した。

結果:インフォーマルなFDの機会を提供する3つの日常的な教育実践を明らかにした。すなわち、(1) 教育実践へのエビデンスの適用、(2) 教育実践の評価、(3) 教育実践の共有。これらの機会への関与は、個人の専門的学習への動機付け・積極性(効果)と組織文化・構造(制約)によって形成されていた。

結論:教育実践にエビデンスを適用し、評価し、共有することは、アカデミックな環境での継続的な学習に貴重なコンテクストを提供する。教育者や組織がこのような「現場での」FDの機会を認識し、活用できるように支援することは、継続的な学習文化を育むために不可欠である。