医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The active role of interpreters in medical discourse - An observational study in emergency medicine (Patient Educ Couns 2021)

Benda NC, Bisantz AM, Butler RL, Fairbanks RJ, Higginbotham J. The active role of interpreters in medical discourse - An observational study in emergency medicine. Patient Educ Couns. 2021:S0738-3991(21)00384-0. Epub ahead of print.

背景:患者、医療従事者、医療通訳者の間で行われているコミュニケーション上の課題とそれに関連する戦略を研究することを目的とした。

方法:英語が堪能な患者と英語が不自由な患者を対象に、救急部の患者を観察した。患者と病院スタッフのコミュニケーションの内容をペンと紙で記録した。質的分析により、主要なテーマと通訳者のタイプによる違いを明らかにした。通訳者のタイプによるテーマと違いは、メンバーチェックのためのインタビューを通じて検証され、更新された。

結果:英語が堪能な6名の患者と英語が不自由な9名の患者を観察した。コミュニケーションタスクの主なテーマは、理解とラポールの確立、維持、更新、修復であった。すべてのタスクは、英語が堪能な患者と英語が不自由な患者で観察された。英語が不自由な患者との違いは、医療通訳者がコミュニケーションタスクの完了に積極的な役割を果たしたことであった。電話ベースの通訳者は、対面の通訳者とのテーマ別の比較から、聞き取りの問題や視覚的な手がかりがないことによる情報の喪失など、コミュニケーションタスクを円滑に進めるうえでの課題を抱えていた。

結論:プロの通訳者は、言葉の通じない患者と医療従事者のコミュニケーションにおいて、逐語的な翻訳以上の重要な役割を果たしている。