医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The prism model: advancing a theory of practice for arts and humanities in medical education (Perspect Med Educ 2021)

Moniz T, Golafshani M, Gaspar CM, Adams NE, Haidet P, Sukhera J, Volpe RL, de Boer C, Lingard L. The prism model: advancing a theory of practice for arts and humanities in medical education. Perspect Med Educ. 2021 Apr 29. Epub ahead of print.

背景:芸術・人文科学 (arts and humanities)は、医学教育に変革をもたらす可能性を秘めている。この可能性を実現するためには、芸術・人文科学教育とは何か、何を目的としているのかを理解する必要がある。2016年に行われた量的研究のレビューでは、3つの言説的立場(芸術は医学に内在するもの、医学に付加するもの、医学を治療するもの)と、3つの認識論的機能(技術を習得するための芸術、視野を広げるための芸術、個人的な成長や活動のための芸術)がマッピングされている。より包括的なサンプルを用いれば、医学教育における芸術・人文科学教育の位置づけと機能について、新たな洞察が得られるかもしれない。

方法:この2016年のフレームワークを参考に、最近のスコーピングレビューで作成したデータベースから769件の引用について、言説的・概念的な分析を行った。また、このレビューから15人のステークホルダーインタビューを分析し、繰り返し起こるテーマを探した。これら3つの分析結果を反復的に比較し、組み合わせることで、言説的機能と学習ドメインの複雑な関係を表すモデルを作成した。

結果:文献では、芸術・人文科学は医療に付加的なものとして位置づけられており、スキルの習得や視野の拡大といった機能に焦点が当てられていた。また、ステークホルダーは、芸術・人文科学の本質的な価値を強調し、社会批判や変革への有用性を強調した。我々は、全ての学習ドメインにわたる、医学教育における芸術・人文科学のより戦略的な活用を支援するために、4つの機能(スキルの習得、視点の獲得、個人的洞察、社会的アドボカシー)からなる洗練された実践理論 Prism Modelを提案する。

結論:Prism Modelは、芸術・人文科学教育における教育学的な柔軟性と批判的な省察を促し、その変革の可能性を実現するための基盤を提供するものである。