医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Exploring the practice, confidence and educational needs of hospital pharmacists in reviewing antimicrobial prescribing: a cross-sectional, nationwide survey (BMC Med Educ 2021)

Khumra S, Mahony AA, Bergen PJ, Page AT, Elliott RA. Exploring the practice, confidence and educational needs of hospital pharmacists in reviewing antimicrobial prescribing: a cross-sectional, nationwide survey. BMC Med Educ. 2021;21:235.

背景:Antimicrobial stewardship(AMS)プログラムは、通常、リソースと範囲が限られている。そのため、適切な処方を行うためには、病院薬剤師が抗菌薬処方の見直しに広く関与する必要がある。本研究では、病院薬剤師が抗菌薬の処方を検討する際の自己申告による実践と自信、および抗菌薬の処方を行う際の知識を評価した。

方法:2017年10月にオーストラリア全域を対象とした横断的な調査を実施した。オンライン調査へのリンクを、Society of Hospital Pharmacists of Australiaを介して病院薬剤師に電子メールで送付した。知識スコアが高いことに関連する因子を線形回帰モデルを用いて探索した。

結果:回答者は439人で、そのうち272人(61.7%)は大都市の公立病院の薬剤師であった。薬剤師は、処方されてから24~72時間以内に、スペクトルの狭い経口抗生物質よりも、スペクトルの広い静脈内投与の抗生物質や制限付きの抗生物質の方が適切であると評価する傾向にあった (p < 0.001)。感染症特有の要因に基づく投与量の最適化、バグと薬剤のミスマッチ、抗菌活性のスペクトラムの不適切な欠如に関連するAMSの介入を特定できる自信のある回答者は50%以下であった。知識スコア(知識に関する質問への正解)の中央値は9点満点中6点(四分位範囲、5~7点)で、抗菌薬の嫌気性菌スペクトラム、βラクタムアレルギーの評価、免疫不全患者への投与について、重要なギャップが指摘された。入院患者領域の臨床現場での実践、3~5年の登録期間、最近のAMS教育を受けたことが、高い知識スコアと関連していた。教育方法としては、講義形式よりも対話形式の方が好まれた。

結論:オーストラリアの病院における抗菌薬処方を改善するための教育戦略を策定するうえで、病院薬剤師の実践、自信、知識のギャップが明らかになった。