医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Listening to student voice-understanding student and faculty experience at two UK graduate entry programmes (BMC Med Educ 2021)

Alagha MA, Jones L. Listening to student voice-understanding student and faculty experience at two UK graduate entry programmes. BMC Med Educ. 2021;21:191.

背景:英国では医師不足が長年の課題となっている。Graduate entry medicine (GEM)は、潜在的な医師に第二の入学ポイントを提供する可能性がある。しかし、これらのプログラムを開発・実施するうえでの課題はまだ認識されていない。この小規模な研究は、英国の2つのGEMプログラムで学生が直面する機会と課題を簡潔に探ることを目的としている。

方法:インペリアル・カレッジとスコットランドのGEM (ScotGEM)の2つのケーススタディを実施し、半構造化インタビュー・エリートインタビューによるtriangulateされた質的アプローチを用いた。データ分析は、grounded theoryに基づき、テーマ分析・force-field分析を応用した実証的なアプローチで、高等教育機関のための証拠と手段的な解釈を生み出した。

結果:GEMは卒業生が医学界に入るための機会を提供しているが、各プログラムの異なる推進要因が、入学要件や卒業生が経験する課題を決定するうえで重要な役割を果たしていた。GEMプログラムの学習者の経験には、3つの重要なジレンマが影響しているようであった。(a) 卒業生のアイデンティティと変化し続ける自分自身の感覚、(b) self-directedおよびself-regulated learningスキル、(c) サービススケープ、マネジメント、マーケティングの概念。

結論:graduate entryプログラムは、医療従事者の労働力不足を補うために、政策立案者や教員を支援するものである。しかし、このプログラムを成功させるためには、将来の医療従事者としての卒業生の創造性、レジリエンス、専門性の向上を引き出すために、卒業生のニーズを慎重に考慮する必要がある。