医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Optimising the delivery of remediation programmes for doctors: a realist review (Med Educ 2021)

Price T, Wong G, Withers L, Wanner A, Cleland J, Gale T, Prescott-Clements L, Archer J, Bryce M, Brennan N. Optimising the delivery of remediation programmes for doctors: a realist review. Med Educ. 2021 Mar 26. Epub ahead of print.

背景:医師のパフォーマンス低下は、患者の安全を脅かす。そのため、パフォーマンス低下を「是正」し ("remedy")、医師を安全な業務に復帰させるプロセスである「リメディエーション (remediation)」は、医学教育において非常に重要な分野である。しかし、リメディエーションは世界中の医療機関で行われているが、採用されている特定のモデルや戦略に関するevidenceは限られている。本研究の目的は、なぜ、どのように、どのような状況で、誰のために、どの程度まで、医師に対する理メディエーションプログラムが患者の安全を回復するために機能するのかを確認するために、リアリストレビューを行うことである。

方法:RAMESESの基準に沿ってリアリスト文献レビューを行った。系統的な文献検索と、ステークホルダーグループとの定期的な意見交換を通じて、リメディエーションのプログラム理論を構築した。文献データベース (MEDLINE、Embase、PsycINFO、HMIC、CINAHL、ERIC、ASSIA、DARE)を検索し、目的に応じた補足検索を行った。プログラムの理論に関連するテキストを抽出し、リアリストの分析手法を用いて、文脈-メカニズム-成果の構成 (CMOcs)を特定した。

結果:141件の文献が含まれた。大半の研究は北米で行われたものであった (64%)。29個のCMOcsが特定された。リメディエーションプログラムは、医師の洞察力とモチベーションを高め、行動変化を強化することで効果を発揮する。洞察力を高めるには、安全な空間を提供し、信頼関係を促進するためのアドボカシーを用い、フィードバックを敏感に表現することが必要である。モチベーションを高めるには、リメディエーション計画に医師を参加させること、原因帰属を修正すること、目標を設定すること、リメディエーションに偏見を持たせないことなどが挙げられる。持続的な変化は、新しい行動やスキルを実践し、ガイド付きの振り返りを行うことで達成できる。

結論:リメディエーションは、行動変化のメカニズムを誘発する環境を作ることで効果を発揮しうる。我々のevidence統合は、医師のためのリメディエーション介入を改善するための実施および設計戦略の調整に関する詳細な推奨事項を提供する。