医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Talking the talk in junior interprofessional education: is healthcare terminology a barrier or facilitator? (BMC Med Educ 2021)

Nadarajah S, Azim A, Yılmaz DU, Sibbald M. Talking the talk in junior interprofessional education: is healthcare terminology a barrier or facilitator? BMC Med Educ. 2021;21:177.

背景:医療専門用語 (healthcare terminology)の使用は、多職種連携教育 (IPE)の潜在的な障壁となっている。本研究では、ジュニア学習者がIPEの場で医療用語をどのように認識し、分類しているかについて説明する。

方法:本研究では、マクマスター大学のシミュレーション・ベースド・ラーニングセンターでの教育活動に参加したことがある、あるいは参加登録している医学生29名、看護師14名、医師助手2名を対象に、混合法による研究を行った。23名の参加者は、オンライン調査により、IPEワークショップで使用される一連のシナリオにおける「包括的 (inclusive)」または「排他的 (exclusive)」な用語を特定した。アンケートの回答から「包括的」「排他的」な用語のリストを作成し、含まれる単語の頻度を特徴づけた。IPEワークショップに参加した22名の学生を対象に、医療用語に関する意識や認識についてフォーカスグループディスカッションを行った。逐語録の直接内容分析を繰り返し行い、テーマを特定した。

結果:学生は14件のcaseを分析し、1caseあたり平均21語を医療専門用語として特定した (全体の語数の28%)。特定された290の用語のうち、113の用語が医療専門用語として分類され、46の用語が包括的用語、17の用語が排他的用語として50%以上の参加者によって分類された。フォーカスグループの記録を分析した結果、4つのテーマが明らかになった。すなわち、(1) 略語は複雑な用語として一般的に認識されていること (2) 用語に精通していないのは経験不足に起因することが多いこと (3) シミュレーションは用語を学ぶための安全な空間であると考えられていること (4) 用語を学ぶことは大切なIPEの目的であること。

結論:IPEの学習教材では、学生は多くの医療専門用語を認識しているが、用語を「包括的」または「排他的」に分類することには一貫性がない。さらに、医療専門用語はジュニア学習者の間では望ましい難点 (desirable difficulty)として認識されており、IPEでは避けるべきではないと考えられる。