医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Patient perceptions of students in a longitudinal integrated clerkship in Taiwan: a qualitative study (BMC Med Educ 2021)

Chang YW, Hirsh DA, Fang WH, Li H, Tzeng WC, Kao S. Patient perceptions of students in a longitudinal integrated clerkship in Taiwan: a qualitative study. BMC Med Educ. 2021;21:153.

背景:Longitudinal Integrated Clerkships (LICs)は、西洋で急速に普及している臨床教育モデルである。LICsは、教育の継続性を利用して、学生の臨床学習とプロフェッショナル・アイデンティティ形成を促進する。西洋では、患者中心のケアは医療専門職の中核をなすものである。患者中心のケアを支援するために、台湾の教育指導者は臨床教育を再構築し、東アジアで初の縦断的統合クラークシップを実施した。本研究は、台湾の儒教的な文化的・社会的文脈のなかで、LIC学生との縦断的な関係に対する患者の認識を調査することを目的とした。

方法:LIC学生に長期的なケアを受けた患者またはその家族に研究への参加を呼びかけた。参加した患者またはその家族に対して半構造化インタビューを行った。一般的な帰納的アプローチを用いてデータを質的に分析し,LICの学生との交流に関する患者の経験についての記述からテーマを特定した。

結果:25名の患者および家族がインタビューに参加した。患者16名、家族9名である。インタビューの記録を質的に分析した結果、患者がLICの学生からケアを受けた経験から、3つのテーマ (ケアの促進、companionship、empathy)が明らかになった。ケアの促進では、LICの学生が医師と患者の間の橋渡しをした。学生は、患者に注意を促したり、相談に乗ったり、病気の進行を追跡したり、問題の解決策を調べたりして、患者に貢献した。companionshipを提供するために、学生は友人や親友のように対人関係で患者に付き添い、患者の話に耳を傾け、存在感を示した。empathyを提供するために、患者は、学生が患者の経験、感情、気分を心から気遣ってくれたと報告した。

結論:今回の研究では、LICの学生に対する台湾の患者の視点から、ケアの促進、companionship、empathyの価値が示唆された。これらのテーマを、儒教文化と台湾のケアの文脈の中で議論する。