医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Reimagining Well-Being Initiatives in Medical Education: Shifting from Promoting Wellness to Increasing Satisfaction (Acad Med 2021)

Slavin S. Reimagining Well-Being Initiatives in Medical Education: Shifting from Promoting Wellness to Increasing Satisfaction. Acad Med. 2021 Feb 23. Epub ahead of print.(※ 今回はoriginal articleではなく、invited commentaryより。)

・医学教育におけるwell-being運動は10年以上前から行われている。COVID-19 pandemicやそれ以降の流行に対応して医学と医学教育が進化していくなかで、学習者、教員、スタッフのメンタルヘルスのニーズをサポートするために、これらの取り組みを検証し評価することは適切であると思われる。これまでのところ、well-beingを促進することを目的とした介入のほとんどは、苦痛の環境的要因よりも個人の戦略に焦点を当てており、主に提供されているのは、マインドフルネス、瞑想、ヨガ、栄養学、運動、睡眠などの戦略である。このプログラムに対する医学学習者の反応は、主に両義的なものから憤慨するものまで様々であり、多くの人は、このプログラムが自分たちの特定のニーズや経験している課題に十分に対応できていないと感じている

・この論文のなかで著者は、well-beingそのもの (per se)が理想的な目標や目標であるべきだという仮定に疑問を呈している。学習者や教員は、他の目標、すなわち、幸福度に直接焦点を当てた目標ではなく、学生、resident、教員が直面している課題に直接対処するという意味でwell-beingの基盤となる目標を考えることで、より良い結果を得ることができるかもしれない。言い換えれば、目標とそれに関連した介入は、学校や仕事以外での健康的な実践を奨励することに主に焦点を当てるのではなく、学校や仕事の経験に焦点を当てることになるだろう。

・著者は、満足度 (satisfaction)というレンズを用いて、well-beingに向けた進歩を見たり評価したりすることで、3つの相互に関連した領域で満足度を高めることを提案している。(1)学校 and/or 仕事、(2)自己、(3)生活である。これらの領域に注意を払うことで、長年求められてきたが捉えどころのないwell-beingの改善を生み出す可能性が高くなるかもしれない。