医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The role of training in student examiner rating performance in a student-led mock OSCE (Perspect Med Educ 2020)

Koo JH, Ong KY, Yap YT, Tham KY. The role of training in student examiner rating performance in a student-led mock OSCE. Perspect Med Educ. 2020 Dec 22. Epub ahead of print.

背景:学生主導の模擬OSCEなど,医学教育では,ピア評価ががますます普及してきている.評価者のトレーニングがOSCE評価を改善するかもしれないと示唆しているエビデンスが一部ある一方で,ほとんどの学生は,評価者になるまでにトレーニングを受けていない.本研究では,学生主導の模擬OSCEというセッティングにおいて,評価者トレーニングプログラムを評価した.

方法:2年生の模擬OSCEは病歴聴取 (Hx)と身体診察 (PE)ステーションから構成されており,35人の3年生試験監督 (Y3)と,参考試験監督として21人の5年生試験監督 (Y5)のもと,行われた.12人の3年生試験監督は,教員によって行われたOSCE試験監督トレーニングプログラムに参加した.OSCEの間,Y3とY5の学生はランダムにペアを作られ,同じ候補者の評価を行い,スコアは比較された.チェックリスト評価点 (CR)とglobal rating (GR)評価点が,HxとPEの両ステーションに対してつけられた.

結果:全てのドメインにおいて,Hx (ICC 0.71-0.96)とPE (ICC 0.81-0.88)の両ステーションで,Y3とY5学生試験監督の間で,中等度〜大きな相関があった.HxとPeの両ステーションで,GRドメインはCRドメインよりも低い相関だった.試験監督トレーニングは,PEステーションにはより良い相関をもらたしたが,Hxステーションにはそのようなことはなかった.効果の大きさは,行われた全ての比較において,最小検出可能効果 (minimum detectible effect; MDE)の大きさよりも小さかった.

結論:Y2模擬OSCEにおいては,Y3学生試験監督は,Y5学生試験監督の効果的な代替となった.本研究の知見により,試験監督トレーニングは,特にPEステーションにおいては,評価をさらに向上させる可能性が示唆された.専任試験監督トレーニングの効果をさらに評価するためには,より大きなサンプルサイズの研究が必要である.