医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Physician-faculty perceptions toward teaching incentives: A case study at a children’s hospital (Med Educ 2020)

Martinez GF, Giblin CR, Willis BC. Physician-faculty perceptions toward teaching incentives: A case study at a children’s hospital. Med Educ. 2020 Nov 13. Epub ahead of print.

背景:本探索的研究では,米国の独立系小児病院における教育推奨プログラムに関する,医師と教員の認識と態度を調査した.我々は報酬モデル (compensation model)について説明し,その組織文化へ与える影響についての教員の解釈を示す.

方法:教育生産性向上のための介入の社会学的側面を理解するため,ケーススタディーの方法論を適用した.深いインタビュー (in-depth interview),リーダーシップミーティングの直接観察,教育活動ログ,組織的理論的レンズ,調査結果を用いて,方法論的なトライアンギュレーションを行った.これら多数のソースのデータは,コアテーマを同定するために研究者感で反復的にコード化・議論された.

結果:インセンティブの対象となった教員のうち,32名 (32/107, 30%)が深いインタビューに,88名 (88/107, 82%)が調査に参加した.その結果,インセンティブの実施により一部の人にとっては障壁を軽減するための前身があったが,他の人にとってはギャップが見られたことを示唆しており,この研究領域でのさらなる調査が必要であることを示唆している.インセンティブの実施は,病院の教育的文化の促進を意図した戦略的なものとして認識されていたが,参加者は一般的に,正式な契約で教育割り当てを省略した理由についての混乱を表明していた.しかし,変化への導管としてのプログラムに対する高い満足度は明らかであった.また,教員んのモラルが変化しているとの認識があり,それは教育への熱意を高める進化する組織文化を反映したものであった.最後に,教員は,教育インセンティブを採用している組織は教員のリクルートに正の影響を与えうるとの認識を示した.

結論:我々は,教育活動に対する適切なインセンティブに基づく報酬が,教育機関の学術的な威信の目標と教育の評価に関する教員の認識を伝えることに成功していることを発見した.そのようなプログラムは,組織のリーダーシップにより時間と資源をわずかに投資することを必要としながらも,臨床と管理のプレッシャーが高まっている時代にあっても,教育ミッションが優先されていることを伝えることができ,教員の士気と教育への献身にポジティブな影響を与える可能性のある組織文化を伝えることができる.