医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Feedback from Health Professionals in Postgraduate Medical Education: Influence of Interprofessional Relationship, Identity, and Power (Med Educ 2020)

Miles A, Ginsburg S, Sibbald M, Tavares W, Watling C, Stroud L. Feedback from Health Professionals in Postgraduate Medical Education: Influence of Interprofessional Relationship, Identity, and Power. Med Educ. 2020 Dec 1. Epub ahead of print.

背景:interprofessionalなチームメンバーによってresidentの職場の直接観察することは,卒後教育において形成的フィードバックを促進するための効果的な戦略かもしれない.本研究では,interprofessionalなフィードバックがどのように考えられ,提供され,受け取られ,利用されるのかをより理解するために,職場でのフィードバックについて,フィードバックを提供する側・受ける側双方の認識を探索した.

方法:residentとの個人インタビューを17回,医療専門職(HPs.看護師2人,リハビリテーション療法士2人,薬剤師2人,ソーシャルワーカー2人)とのフォーカスグループを8回実施し,合計61人が参加した.constructivist grounded theory approachを用いて,データ収集と分析を反復的に行い,一定の比較をして,テーマの同定・探索を行った.

結果:フィードバックの概念と内容は,residentが,interprofessionalな関係のなかで,学習者 (learner)として認識されているか,同僚 (peer)として認識されているかに依存していた.residentは,医師のコンピテンシーとHPsの役割がどのように一致しているかを判断するために,interprofessionalな役割理解に依存していた.この整合性は各専門職種間に特有のものであり,フィードバックの信頼性の判断に影響を与えた.residentは,医師からのフィードバックや医療専門分野からのフィードバックを優先していたが,これはHPsが過大評価されていると感じる役割であった.直接観察の理想的な機会があるにも関わらず,フィードバックの実施は,専門職間の力関係の違いに影響されていた.

結論:本研究の結果は,HPsによるresidentへのフィードバックの概念化と,そのフィードバックがどのように広められるかに影響を与える社会的な構成要素を明らかにした.プロフェッショナルアイデンティティと社会的分類は,フィードバックの受け入れと取り入れに複雑さを加えていた.interprofessionalなフィードバックが望ましい結果を達成するのを確かにするために,教育プログラムは,グループ間の偏りとパワーアンバランスを緩和するための戦略を実施すべきである.